三谷作品初心者向け!王様のレストランという名作について語りたい

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こんにちは、emです。

 

早速ですが大好きなドラマがあるのでご紹介させてください。三谷幸喜脚本王様のレストランです。DVDのオーディオコメンタリーも聴きましたがそれも最高に面白い!

 

 

王様のレストランって?

1995年4月から7月まで毎週水曜9時から放送されていたフジテレビ系列のドラマ。

 

脚本・三谷幸喜 演出・鈴木雅之、河野圭太

 

説明せずとも、日本で人気になったテレビドラマにはだいたいこの御三方が関わっていますね。

 

オープニング曲:服部隆之「Bon courage!」

エンディング曲:平井堅「Precious Junk」

 

そう、エンディングはあの平井堅のデビュー曲でした。誰もが口を揃えていいます。

なんで良い曲なのに売れなかったんだと。

 

人には人のベストタイミングってのがあるのですよきっと。私はそう思います。

 

ざっくりあらすじ

倒れかかったフレンチレストラン「ベル・エキップ」を立て直すべく現れた、若きオーナー・禄郎と伝説のギャルソン・千石。ところが店にはやる気のないシェフたちといかがわしいディレクトールそしてバルマン。千石はシェフ・しずかの才能を見抜き、なんとかやる気に火をつけようとするが、いつしか千石への反発が強まり店は波乱ムードに。そんな中で起こるアクシデントをあれやこれやで乗り越えるうちに仲間の団結が次第に生まれ、ちょこっとラブなんかもちらほらありつつ最後には笑いも涙も止まらないハートフルヒューマンドラマです!!!!

キャスト

・千石武/松本幸四郎

初代オーナー時代のベルエキップに働いていたギャルソン。初代オーナーの親友。一度店を離れたが、店に当時の活気を取り戻すべく、禄郎に頼まれ店に戻ってきた。

 

・原田禄郎/筒井道隆

初代オーナーの愛人の息子。父の遺言でベルエキップの若きオーナーに突然就任することとなる。

 

・磯野しずか/山口智子

ベルエキップのシェフ。初代オーナーが病気になった時にスー・シェフとして雇われ、そのまま昇格した。やる気はないが千石に才能を買われ、徐々にシェフとしての自覚と実力を身につけていく。

 

・三条政子/鈴木京香

ベルエキップのバルマン。元々クラブのホステスだったのを引き抜かれた。ディレクトールである範朝の愛人。

 

・水原範朝/西村雅彦

ベルエキップのディレクトール。初代オーナーの長男であり、禄郎の腹違いの兄。初代オーナーが病に伏せた後経営を任されたがみるみる悪化。いかがわしいビジネスに手をつけるなど厄介な問題を引き起こす。

 

・梶原民生/小野武彦

ベルエキップのメートル・ド・テル(給仕長)。勤めている期間は長いが、あまり役に立たない。

 

・稲毛成志/梶原善

ベルエキップのパティシエ。しずかに2回振られている。意外とデリケートな面があり、自分のデザートにも自信を持てずにいる。

 

・大庭金四郎/白井晃

ベルエキップのソムリエ。自分の能力に自信を持っており、他の従業員と一線を画している部分があるが、実はお人好しで優しい性格。

 

・和田一/伊藤俊人

ベルエキップのコミ(食堂主任)。ギャルソンとしての仕事は千石からも評価されている。梶原と一緒にいることが多く、彼のスケべ話には若干うんざりしている。

 

・畠山秀忠/田口浩正

ベルエキップのスー・シェフ。しずかを慕っており、稲毛をライバル視している。

 

・佐々木教綱/杉本隆吾

ベルエキップのプロンジュール(皿洗い)。いつも真面目に皿を洗っている。目標は「一流のプロンジュールになること」。

 

・ジュラール・デュヴィヴィエ/ジャッケーローロン

ベルエキップのガルド・マンジェ(オードブル担当)。日本語があまりわからないため時々時代劇がかった日本語を話す。

 

・ナレーション/森本レオ

「それはまた、別の話」と締めくくるのが定番。

 

このドラマのここがいい!

・登場人物のキャラが立っている

それぞれのキャラクターがハマりすぎるほどにハマっているんです。自然すぎて、なのに強烈で、本当にどこかの街に存在していてほしいと思うくらい愛おしいキャラクターたち。

 

一番好きなキャラが決められません。本当に全員大好き!!と叫びたくなる。

 

三谷さんによれば、実際に俳優さんと会ってみたり演技を見てみたりしてキャラの方向性やストーリーの流れを変えていたそうです。

 

例えば禄郎は、筒井道隆さんについて「固い人だと思っていたら会ってみるとなんか面白い人だった」ということで、少しとぼけたあの禄郎のキャラに行き着いたそう。

 

さらに言えば、最初はしずかは禄郎とくっつく予定だったけど、話が進んでいったらなんか千石としずかが良い感じだったからそっちにしたと言われていました。

 

(しずかと禄郎のそういう話も見てみたかったかも!!)

 

その他のキャストも、伊藤俊人さん梶原善さんといった三谷さんが長く親交のある俳優さんが多いです。一人一人をモデルとしたキャラクター設定だったのでしょう。

 

ちなみに松本幸四郎さんはダジャレが好きらしいのですが、千石もそういうキャラです。1話で「シャンベルタンを持ってこい!」と荒ぶる客に対してもう何もシャンベルタンとたしなめています。これアドリブだったらしい。

 

登場人物が全員キャラ立ちしているのは、俳優さんの本来持つ個性や面白みをキャラに落とし込んでいるからこそです。

 

・伏線だらけのストーリー

特にすばらしかったのは第5話の奇跡の夜という回。これがもう、見事なまでの伏線回収!タイトル通り、奇跡が起こるには誰一人欠けてはいけなかったという奥深いテーマでもあります。

 

第6話一晩だけの支配人でもなんて脚本だ!と唸らされます。今の視聴者向けに例えるならば、アンジャッシュのコントみたいな感じでしょうか。めちゃ面白い。

 

・なんかもういちいち面白い演出

脚本の良さもありますが、これは演出の力なのでしょうか。鈴木雅之さんといえばショムニとかHEROとか、ああいうテンポの良い独特のカット割が特徴的。

 

例えば1話で範朝がクレープフランベを作るところや5話で千石がメリージェーンを聞いているところ。あの一人一人がテンポよく映るカット割り。どことなくコミカルですよね。

 

ちなみに歌手の方はこちらです。 

違う、そうじゃない。

 

演出のお二方だけでなく、出演者のアドリブやアイデアも形になっているといいます。

 

例えば第2話で禄郎が店に来た際、メートルたちが散々名前を間違えるというくだりがありますが、あれは伊藤さんのアイデアだとか。

 

またキャラ設定にも通ずるところがありますが、しずかが橋幸夫ファンというのも乙な設定ですよね。橋幸夫にしたのは三谷さんがリズム歌謡が好きだからという理由だそうですが、流石のセンスとしか言いようがない。

 

ただのウケ狙いの発言ではなくて、キャラクターが自然とやってる発言や動作、その滲み出る人間性が純粋に笑えるのです。

 

毎回どこかでクスリとさせられるシーンが盛り沢山で、いつも満足感でいっぱいになります。

 

・登場人物の心の成長

この物語のグッとくるところは、バラバラだった店がいつしか団結し一つにまとまっていくところです。

その大枠はもちろんなのですが、一人一人の心の動きがきちんと描かれているところが素晴らしいなと思うのです。

 

禄郎はオーナーとしての経験はもちろんのこと、失恋も経験します。

 

付き合ったり別れたりしていた範朝と政子でしたが、最終的にヨリを戻した時の禄郎の失恋シーンには一人の男性の成長がしっかりと描かれていました。

 

しずかは勝ち気で男っぽく大胆な性格をしていますが、その実自分に自信が持てずにいます。料理に対する思いはあるのに、自信がないから誤魔化しつづけている。

 

どうせこの仕事長く続けようとは思ってませんから(第2話)

 

それを知ってか知らずか、千石だけは真っ直ぐにあなたならできると励まし、何度も鼓舞してくるわけです。

 

そんな千石にしずかはほんのり恋心を抱いていくようになります。

 

しずかの政子に対する態度もあからさまでした。「女」についてもコンプレックスを感じているのは、あとで政子が失恋した回でも見受けられます。

 

最終話で千石が店を出て行った時、それは仲間を失った喪失感というよりも、信じていた一人の男性を失った女心が描かれています。しずかにとってはシェフとしても女性としても成長した1年だったわけです。

 

そしてそんな人物の心を見事に演じきっている筒井道隆さんと山口智子さんの演技力!!

 

スバラシイデス。

数多くの胸打つ名言たち

・パンは小さな器に入れれば小さく膨らみ大きな器に入れれば大きく膨らみます

2話で千石が禄郎を励ました言葉。

 

・あなたは自分のことしか知らない、私は100人のシェフを知ってる

4話で千石がしずかに言った一言。

 

・でも、やりたいんだ

6話で梶原が言った台詞。無茶だと言われてもでもやりたいんだ、と真っ直ぐにいえるところは彼の後先考えない性格を表したコミカルなシーンであった。だけど個人的には、なんか感動して心に残ってしまった。

 

ファンなら知っておきたい裏話

・名前の秘密

名前は歴史上の人物の名前になっています。三谷さん曰く、好きだし覚えやすいから。

 

千石武:武蔵坊弁慶から

原田禄郎:九郎義経から

磯野しずか:静御前から

三条政子:北条政子から

水原範朝:源頼朝から

 

なるほど確かに覚えやすい!禄郎としずかをくっつける予定だったからこの名前にしたのに、と言われていました。(1へえ)

 

水原も「源」をさんずいと原に分けたということ!(2へえ)

 

また、小野武彦さん演じる梶原。これは稲毛役の梶原善さんから来ています。役の中でしきりに「カジワラじゃなくてカジハラね」といいますが、これは梶原善さんが実際によく言っていたことなのだそうです。

 

・あの人は今

佐々木役・杉本隆吾さん

現在は松高タケシに改名し、脚本演出や映像作家、また作詞作曲や振り付けもされているとか。

 

デュヴィヴィエ役・ジャッケー・ローロン

フランスで映画監督になったらしい。

 

和田役・伊藤俊人さん

2002年に亡くなりましたが、その訃報にはとても驚いたことを思い出します。三谷さんがHRの時にかけていたメガネは伊藤さんのものだそうです。

 

・ひっそり出演していたゲスト

橋幸夫・坂井宏行・服部幸慶

最終話で登場。橋幸夫はしずかに本物じゃないと言われてしまいます。その展開もウケる。

 

三谷幸喜

最終話の最後に謎の中国人が訪問します。あの人は三谷さんです!

 

王様のレストラン初心者の皆様へ

コメディが好きなら是非見て欲しい!

そして、今夢を追っている人にも。私はもう今年になって4回は観ました。またいつか、ネタバレありの考察記事も書きたいと思っています。(好きすぎ)